世にもキッツイ暴力映画。「ファニーゲーム」にメッセージを見出してみる

最近の世の中って、けっこうグロい描写好き。

ネット漫画って無料で読めて面白いんだけど、とにかく人が死にまくる。

日常に退屈する若者が、突然死ぬかもしれない恐怖の窮地に落とされるみたいな設定の作品が超多い。

でもそんな作風が人気出るんだから怖い世の中だな~と思ったり。

結局みんな暴力みるのが好きなサイコパス

平和ボケしてる日本人だからこそなのかもしれないけど、人が死ぬシーンを目ギラつかせながらみてんだからちょっとヘンだよね。

 

そんな常識人の仮面をかぶったサイコパスなみなさんに、とっておきの暴力映画を紹介しようじゃないか。

有名だから知ってると思うけど「ファニーゲーム

この作品いろいろと凄い。

 

まずオープニングから別世界。

休暇で別荘に遊びに来た家族が楽しそーに車で喋ってるのに、いきなりハチャメチャロック。

平和な家族とのギャップがこれから起こる悲劇を暗示して、不気味な雰囲気でスタート。

車と家族、不気味な雰囲気って「シャイニング」のオープニングを彷彿とさせる。

 

途中からはどこからともなくやってきた青年2人に拘束された家族が、ひたすらに暴力を振り続けられる。

暴力だけじゃなくて、母親に子供の前で服脱がさせたりとか陰湿なのも。

とにかく胸糞悪いんだけど、実は直接的な暴力描写は無い。

効果音とか悲鳴だけでうまいこと暴力をイメージさせている。

家族がどうなるのかは、ネタバレになっちゃうから書かないけど酷い展開だから覚悟を持って観たほうがいいよ。

 

得体のしれない青年2人のキャラも独特で見もの。

2人とも上下白の服着て、ノンスタみたいでダサい(あくまで服装。ノンスタは大好き。)

ノッポとデブのペアでどこにでもいそうな普通の若者なんだけど、どこか怖さを感じさせてくれる。

それに、とにかく話し方がムカつく。

相手のあげあしををとるっていうか、話し相手をムカつかせるのが超うまい感じ。

観てるだけの自分でさえ関係ないはずなのに、だんだんイライラしてくる。

ここまで観客の感情を操作してくる映画はなかなかないと思う。

すばらしい演出と演技のおかげなんだろう。

 

あと、デッドプールみたいに第四の壁超えてくるんだよね。

時々観客のほう向いて話しかけたり、ウィンクしたり。

これがあるおかげで、フィクション感が増して生々しさを和らげてるって意見もあるみたいだけど、俺的にはただただ2人にムカつく笑

 

普通の映画って、ヒーローには銃弾が当たらないとか正義の側に都合がイイんだけど、この映画はとことんこの2人に味方している。

家族の側にも何回もチャンスはあるのに、ことごとく2人に潰される。

いわゆるご都合主義が全く適用されない映画ということ。

 

最後は家族か青年のどっちが勝つのか、ハッピーエンドかバッドエンドか、気になる人はぜひ観てほしい。

 

こんな異色な「ファニーゲーム」だけど、公開から20年たった今でも語り継がれてるんだから、なにかしらのメッセージ性はあるはず。

だからちょっと考えてみたんだけど、あくまで生まれて18年しかたってない若者の戯言だと思って読んでね。

 

若干ネタバレも含むからご注意を。

 

1997年公開だし俺はまだ生まれてないから、当時の社会情勢ってのはよくわからないんだけど、今の時代に合わせて考えると少しメッセージが見えてくる。

冒頭に書いたけど、最近の一般大衆ってエグい、グロい、暴力描写に惹かれる傾向があるのは確かだと思う。

そんな人たちに対する監督の皮肉を表現したのが今作だと捉えてみよう。

 

最近の漫画、映画はグロいんだけど、最後には悪役が無残に散っていくのがお約束。

憎たらしい悪役ほど惨めな最後を迎えるわけだけど、そうゆう作品を観る人って潜在的にこの悪役の惨めな結末を観て気持ち良くなりたいと思ってるはずなんだよね。

でも今作は青年2人を極悪人に仕立てあげ、観客をムカつかせるほどのキャラに仕上げるにもかかわらず、いつまでたっても2人を殺さない。

そして最後には青年が勝ってしまう。

観客は「あいつらはいつ無残に死んでくれんのかな~」と楽しみに待つわけだけど、監督はそんな観客の願いを叶えてくれない。

期待を裏切られた観客たちは「えっ⁉」てなって、「胸糞わりー映画だな!」と後味悪くエンドロールを迎えるわけよ。

これこそ監督の思うつぼ。

「お前らの期待してるハッピーエンドはみせねーよwww」と言わんばかりに監督が観客に精神的暴力を振るってるのが、「ファニーゲーム」の面白いところってことで。

 

「暴力を楽しみに観ている観客が、気づかぬうちに暴力を振るわれてるって、なんて馬鹿な大衆なんだwww ざまーみろwww」なんて思ってる俺が一番サイコパスなのかな。

 

ちなみにこんなこと偉そうに書いてる俺は、青年の無様な死にざまを想像して楽しみながら観賞しましたとさ。

そして見事に監督にしてやられましたとさ。

 

以上。

 

 

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